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(163)「機械化と人の手」

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2015年04月28日

さじかげん (163)「機械化と人の手」

 歯科技工の未来の担い手を得るには、技工学校へ進学する高校生の獲得が必須だが、進路担当の先生は「どんどん機械化が進み、将来、仕事がなくなるのでは」と懸念される。さらに中学校の職業体験実習担当の先生方ともなれば、歯科技工業界に関する知識はもっと希薄なのが一般的だ。近年はセラミックの補綴物がその特性を生かして審美治療の域に広く普及している。新素材が次々に開発され、CAD/CAMを駆使してでき上がるオールセラミッククラウンは本当に美しい。しかし審美治療を専門にする歯科医師の言葉を借りると、デジタルだけで補綴は成り立たない。

 技工物の仕上げにはやはり歯科技工士が重要で、〝デジアナ補綴〟という造語を使っていたのが印象的だった。今後もデジタル技術の開発は進むだろうが、同時に治療で求められるレベルも上がるため、歯科医師と一緒に理想的な仕事ができる歯科技工士が常に必要となる。

 わずか数年前、フルマウスのインプラント上部構造のフレームを作るにはワックスアップから鋳造、適合、ロー着といった作業が続いた。ベテラン技工士でさえも2~3日を要するシビアな作業は極端な話、今では一晩寝ている間にできてしまう。要するに歯科技工士に求められる本当の仕事は、その次から始まるのだ。

 入社1カ月、新人諸君の目に職場はどう映っているだろうか。同僚のうちにも上司と部下、先輩・後輩、歯科医師と歯科技工士など、さまざまな関係がある。一つ言えるのは、皆が仲間なので変に気を使う必要はない。うまい歯科技工士になるために周りと一つの輪になって、助力を得たり、知恵を借りながら、技術の研鑚と知識の習得に励んでほしい。

 これからの世、ただ作るだけの歯科技工士は時代の波にのまれるだろうが、真に求められる歯科技工士はまだまだ足りない。将来を担う歯科技工士に大いに期待したい。(W/W)

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