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(131)歯科人よ、数を知れ

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2012年06月19日

さじかげん (131)歯科人よ、数を知れ

 

 試算ではあるが、歯科技工士は生涯に約10万本のクラウンのパターンをとる。

 企業体での仕事は数量がまとまるため、継続するうちに集まってくる数字が統計的な意味を持ってくる。歯科界をさまざまな角度から見た数字を知っておくことは業界の総論を展望することになる。

 

 この春FMCと表記の変わった全部金属冠を例に説明させてもらう。

 平成22年の「社会医療診療行為別調査」によると、保険請求されている1ヵ月あたりのFMCの本数は932,983本とある。年間に置き換えると約1045万本である。

 昭和63年厚生大臣告示7対3の目安で計算すると1本当たりの点数が312点であるから、年間約326億円が支払われていることになる。

 FMC1本あたりの技工製造原価は、「歯科技工原価計算要領 2005年版」の試算によると8,425円であり、ここから試算した1年間のFMC製造原価の総額は、約880億円と保険の支払いより大きくなる。

 すなわち保険請求で支払われる金額との差額、約554億円が歯科界全体で1年間にFMCに関して負担(ボランティア)した費用となる。

 約10年前にも同じような提起をしたことがあったが、今も現実は変わらないようだ。

 

 労務の面から歯科技工士をみる。昨今は労務環境に対する国の指導も活発だ。

 補綴物全体の数量と就労技工士の人数に、適切な労務時間を加味した試算を行うと10年前ですら、適切とされる人数の半分で、適切とされる仕事量の約2倍をこなした事実がある。従ってこれらは労務時間の延長を意味する。

 いまだ改善できない労務環境に若い人材は定着するだろうか?

 

 過去の反対語を将来と表現するか、未来と表現するかは自由だ。ただそこには現状を表す数字や構造的な数字の仕組みを把握しておくことが大事なのだ。

 数字は業界の総論を物語っている。総論は明日をすぐには変えられないが未来を築く基になる。

 こうありたい未来に向かっての提言。「歯科人よ 数を知れ。」

 この数字は、数品種ある不採算補綴物のうちの、一品種にすぎない。     (W/W)

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