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(130)患者さんと交換日記

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2012年05月22日

さじかげん(130)患者さんと交換日記

 K大学医学部付属病院にて2011年10月24日より、放射線治療を受け始めた。病名は前立腺がんである。

 この治療方法は、放射線治療、ホルモン注射、病巣摘出手術の大きく三つある。いずれも確実に治り、天寿を全うできるから、そのどれかを選択して治療することになる。今は「がんになった」と周りに話しても誰も同情してくれない。主治医からは、がんの進行具合は“松・竹・梅”の竹であると告げられた。

 「これから放射線室に、37日間毎日通わなくてはならないのでこの間、旅行はせず、また、風邪をひいたりして体を壊さないようにして続けてください。続けることをいったん止めると、元の木阿弥ですから、頑張ってくださいね」と言われ、看護師のKさんから一冊の小冊子を渡された。

 約15×20㎝の紙をホチキスで留めた10ページほどの手作り日誌で、表紙に「放射線治療を開始してからの気持ちや身体の変化、毎日の体調や疲労の具合など何でもご自由にお書きください」と書かれていた。題して、「RTDiary」、交換日記である。

 1枚に5回分の記入欄があり、左欄が「患者さまより」右欄が「看護師記入」である。すでに「看護師記入」の欄にはメッセージが小さな字で記されていた。1行27字、それが4行にわたって書いてあるから108字。ちょうど煩悩の数である。

 「こんな細い小さい字書けるかなー」と思案したが、取り急ぎ3行からスタートすることにした。

 看護師Kさんからのメッセージは「今日から治療のスタートです。よろしくお願いします」と書いてあった。

 そして37日が経過した。何とこの毎日の交換日記がとても楽しかった。がん患者であることを忘れて病院に通い続けた。注意事項もたくさんあったが、ネギ料理とか大根料理なども勧められるので、いつの間にか料理の情報交換と化していったのである。

 最終日には、大きなハートマークで囲まれた欄に「精神的なストレスがあったかもしれませんが、頑張っただけの効果は出ていると確信します。スタッフ一同」と書き込まれていた。感動の2ヵ月であった。

 このことを周りの人に話したが、返事はすべて「素晴らしい」と絶賛であった。歯科においても患者と医師の交換日記は可能ではなかろうか。

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