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(121)科学全盛の時代は終わったか。

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2011年08月02日

さじかげん (121)科学全盛の時代は終わったか。

 科学の始まりは、自然現象をじっくり見つめているうちに何故こうなるのかを理論的に考えたことがきっかけだろう。世の中には三つの事実が共生すると考える。

 科学的根拠ゆえに成立するもの、なぜかしらそう成っているもの、心が想うもの、である。

 あらゆる分野における科学技術の発展は間違いなく人々の暮らしを便利にしてきた。科学の本質は常に新しいものを探し、さらにその先へ進歩するというように決して停まることはない。科学文明は人間の知恵と力の結晶だ。最初は純粋な科学の追及だったとしても、そこから得た新しい知識や技術は必然的に次への競争を生み、莫大なお金をはらむことになる。強いては業界初、国内初、世界初を目指すこととなり、その裏では企業間、国家間で情報操作などがおこなわれるかもしれない。

 こうして科学技術で築き上げられてきた現代社会の正体は、常に新しいもの、もっと良いもの、もっと快適なものを求めるような仕組みになり、発展の名を借りた意図的に形成された世の中に成り果ててはいないだろうか。

 小説家の五木寛之氏と医師の帯津良一氏の対談シリーズ「健康問答」という本には面白いことが書いてある。本書の冒頭に「西洋医学も尊重するが東洋医学もおろそかにしない」「理論も馬鹿にせず、経験からくる直感も大事にする」とある。

 そもそも患者さんは一人ひとり症状が違うのだから、科学やエビデンスを参考にしつつも、ある場面では医師の直感が大切だと言っている。実際に様々な分野でも科学で証明されている範囲は、まだほんの少しだという話もある。

 科学技術が人間の生活に大きな恩恵を与えることは事実であるが、それに頼りきってきた日本はいま苦悩の真只中にある。  

 科学全盛時代、終焉の兆し。

 メス鹿は、走って自分を追い抜くオスを交配の相手に選ぶという。足の速い子孫は生き延びる可能性が高くなると遺伝子が呼びかけるのだろう。直感とは生命力のひとつともいうべきか、本来自分たちが持っているものだ。

 豊かな生活とは、むしろ経験、知識、心の方が大切なのだ。勇気、元気、やる気の「気」は科学で作られるものではない。

 科学技術と自らの経験、心の想いのバランスを取り、これからはあまり器械に頼り過ぎない生活を心がけてみてはどうか。

(W/W) 代表取締役会長 和田弘毅

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