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(94)「歯科治療費は安すぎる」と

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2009年03月03日

さじかげん (94)「歯科治療費は安すぎる」と

 2009年の正月、社員に正月を楽しんでもらおうと、慣れぬ美術館の受付をした。その日は熱心なお客様がいらっしゃると聞いていたので喫茶室で待っていた。2時間程かけて広島からいらっしゃったそのお客様は、歯科のコーナーを見終わった後で、突然、「歯科の治療費は安すぎる。あんな保険の治療費では結局患者に十分なことができず、やっつけ仕事に終わるのではないかと思いますヨ…」と言われた。

 50年余も「歯科は高い、歯科は儲かる」と言われ続けられてきた者にとって、何とありがたいお言葉かと感激してしまった。世の中にはこのように本当のことがわかる人がいるのだと思い、思わずそのお客様の足を引き止めた。

 まだ50歳になるかならないかのSさんは、広島で電気関連の会社に勤め、経理も一時勉強した経験があるとのこと。

 「歯科治療費が安すぎることは歯医者さんには直接言えないので、あえて美術館の歯科コーナーで率直に言います。もし歯医者さんに直接言うと経済観念がないと思われたり、お金に絡む問題点を指摘することになるため、多くの患者は思っていても言えないはずです…」と言われた。

 Sさんは、今の時代「患者は治療の選択肢が多いことを望んでいる」のに、まず歯科医師が説明もなく勝手に保険治療で進めることが不思議だと指摘された。さらに、自分の体のことであるから治療費は安ければ良いというわけにはいかない。健康志向が高まっている今、経済的な余裕を健康のために注ぎたい人はたくさんいる。そして治療内容は、その場限りの救急医療的なものではなく耐久性を望むのが歯科の特徴であるとも指摘された。

 Sさんは最後に、「自分の口の中をいつも見ることができるようにしておきたいし、家族も見ることができるCCDカメラをぜひ買って帰りたい」と歯垢の染色にも関心を寄せた。

 私が「将来、不採算と言われている健康保険治療の30~35%くらいが自費診療になると、もっと多くの方々が、より納得のいく歯科治療を受けることができるようになるのかもしれません。現在10人に1人くらいは保険適応外の治療に納得し、保険治療から自費治療に転換していますよ」と話すと、Sさんは「はるばる広島から高松までやって来た甲斐がありました」と喜ばれた。

 インフォームド・コンセントは歯科に従事する人の積年の課題である。その効率は1~2割と悪いが、粘り強く繰り返すこと自体が歯科医療ではないかと思う。また、治療説明だけでも医療効果を生むことをこの歯科に対する意見から学んだのである。

代表取締役会長 和田弘毅

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