HOME > プレスリリース > (90)咀嚼香(そしゃくこう)
プレスリリース2009年 一覧に戻る

(90)咀嚼香(そしゃくこう)

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2008年10月14日

さじかげん (90)咀嚼香(そしゃくこう)

 
 東京国際フォーラムで9月16~18日、「イノベーションジャパン2008大学見本市」が開催された。理系大学、高専で開発された新技術発表の場である。大学発のベンチャー企業を育成したいと入り口正面を野村證券が陣取り、昨年末にジャスダック市場NEOに上場したベンチャー2社の展示もあった。
 
 日本獣医生命科学大学で食品工学を専攻する小竹佐知子准教授の「口腔咀嚼モデル装置による咀嚼中の味、香、咀嚼力の研究」の展示に関心を持った。食物を人工唾液中で咀嚼させ、その時の咀嚼条件(咀嚼角度、力、回数、時間等)を変えることによって発生する味、香りのデータをまとめ、ベストの食品開発を提案することや、食品メーカーの試験依頼に応じることを目標にしている。
 
 この研究者たちは「咀嚼香とは食物咀嚼中に口腔から鼻腔へと抜ける香りがおいしさの最終判断に寄与している」と結論付けていた。
 
 嗅覚を遮断し、目隠しして肉や魚を食べさせる実験は知られている。こうすると人は食材の区別がつかなくなるのだ。嗅覚、香りが、おいしさに重要な役割を果たしている証拠である。確かに風邪などで鼻が詰まると味がさっぱり分からなくなるのも、そういうことなのだろう。
 
 授業外の活動で歯科人を入れずに咀嚼ロボットを機械メーカーと議論しながら作ったという。この素人力が時には意外な発見、発明、提案につながると思い、とても愉快で楽しくなった。
 
 義歯を装着して審美回復しても、咬み応え、味、香りが低下したら食べる楽しみが減少してしまう。日本人は世界でも指折りなグルメ族で味、香りにとてもうるさい。秋の味覚の代表と言えば「松茸」。国産の京都丹後のものと輸入品では誰でも雲泥の差を感じる国民である。義歯の固定観念を時には捨てて、グルメ族を満足させる義歯製作の研究を進めたい。メッシュデンチャーの第2弾でもあるが、それにしても現状では咀嚼考の段階かもしれないので、夢のまた夢かもしれない。(M/W)

代表取締役会長 和田弘毅

pagetop