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(86)宝の山

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2008年06月03日

さじかげん (86)宝の山

 「宝の持ち腐れ」という言葉がある。ちょっと偏った考え方かもしれないが、歯科治療においては、審美的なこともあってかポーセレン等に席を明け渡した感のある「金冠」がそれなのである。
 
 さて先日、最近トレンディな「ドロップ」をいただいた。昔からの習慣でガリガリ噛んでいると、突然、飴玉以外の何物かを噛んだ。なんと左下6番と7番がかなり崩壊し、長年自慢の我が天然歯も修復の日がやってきたのである。
 
 そこで、即座に歯科医師に「ゴールド冠をお願いします」と言って、支台歯形成と印象に取りかかっていただいた。事前に受付の方から知らされた値段も適切だと感じた。私はその後の処置と作業時間に大変興味を持ったので、金冠2本の形成と印象に要する予定時間をおたずねしたところ、90分とのことであった。
 
 歯科医師は麻酔、支台歯形成そして印象と、注射をいつの間にしてくれたのか分からないほど上手に済ませ、形成の過程では開口休息もとってくれ、これもありがたかった。上下顎の印象を採り、仮義歯のテンポラリーを入れ、ちょうど75分で終わった。予定より15分早かった。      
 
 治療の帰りに院長のご尊父にお会いしたので「15分も早くしてくれて、かつ確実であった」と賞讃した。
 
 かねてから私はフルキャストクラウン(FCK)こそ補綴の基礎だと思い、15年前、香川県に「クラウンセンター綾上」を建設した。不採算補綴を何とか工業化して、いわゆる保険のクラウンを採算ベースに乗せようと頑張ってきた。そして15年が経過したが、やはり今の保険点数では無理があるようだ。
 
 日本の歯科界には上手な歯科医師が大勢いらっしゃるのに、金冠という確実かつ機能性優秀な歯冠修復が、未だに保険点数評価の低い大ボランティア治療によってか、その存在感を薄れさせ、価値が大衆に理解されないのは、患者さんばかりでなく歯科医師にとってもありがたくないことと思う。
 
 保険の不採算等も踏まえて、「金冠」が「宝の持ち腐れ」でなく、真の宝の山となることを願う。

代表取締役会長 和田弘毅

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