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(80)恍惚の人

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2007年11月20日

さじかげん (80)恍惚の人

 
 高齢化率21.7%で5人に1人が65歳以上になった我が国は、世界一の長寿国である。
 
 平成18年3月、群馬県のホームページに、群馬県もの忘れ検診事業プロジェクト委員会が編集した「認知症検診と予防事業」という、なんと90ページにわたる膨大な資料が掲載された。
その資料は「もの忘れ検診の方法」から「脳の健康度チェック表」、「認知症予防」、「予防事業の有効性」等々の内容で構成されている。
 
 「脳の健康度チェック表(個別検診用)」には、「今日が何月何日なのか、分からない時がある」や「現在の総理大臣の名前を知らない」など10個の質問が記載され、該当する数が多いほど、認知症の疑いが増えるという。
私もチェックしてみたところ、結果はなんと、認知症に適応したので驚いた。
 
 そういえば最近、同期の友人や先輩に真剣な話を持ちかけておきながら、後になって「そんなことを言った覚えがない」と事実と相反する答えを繰り返してしまっていたことに気づいた。こういった言動はすべて認知症の始まりとのことである。
やはり、70歳を過ぎたら新しいことに挑戦することや、重要な判断をする場に臨まない方が良いのでは、などと予防に目を向けてしまう。
 
 予防法としては、認知症に効く食物を摂取することで、脳の血液の流れをスムーズにし記憶力の低下を防ぐ、脳細胞の成分を補給する、脳が錆びつくのを防ぐといった効用が挙げられている。また、頭と体の体操として数字を逆に数えたり、一日の出来事を確認すること等がある。しかし、予防法がどの程度の効果があるのかは実証できていないのが現状であり、明瞭な答えはないと結ばれている。
 
 1972年に有吉佐和子氏が「恍惚(こうこつ)の人」(新潮文庫)を出版し、一世を風靡(ふうび)した。それから35年も経ち、もう若者には忘れ去られたであろう「恍惚の人」という言葉は即ち現在の「認知症の人」のことである。  
 
 さまざまな分野からの認知症対策が望まれる昨今、この大きな課題を歯科医療に持ち込んだ場合、「医師と患者の関係」は極めて困難が想像される。さて問題は、誰が猫の首に鈴をつけるかである!?

代表取締役会長 和田弘毅

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