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(69)天童の男寿司

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2006年12月12日

さじかげん (69)天童の男寿司

 
 口福を提唱している者として、時々、ご馳走の話をしなければならない。日本一の寿司屋さんのお話である。
 
 山形県天童市でラボを経営している奥山氏は、遠来の客の接待が大変上手である。近くには山寺があり、将棋で有名なこの地は山海の珍味がまことに豊富で、秋の季節ならアケビの天ぷらや、キュウリにナスビ、大葉、ミョウガなどを使っただし(・・)の効いた山菜料理が豊富である。
 
 一方、海で漁れる料理となると寿司のネタであるが、この「男寿司」の主(あるじ)、岡田茂氏は早朝に遠い宮城県の塩釜まで出向き、予約者の量だけ良質の魚を仕入れてくるというのである。それよりも何よりも一番感心させられるのは料理の出し方なのだ。
 
 初めに刺身を出す普通の寿司屋の手順と違って、取り急ぎ空腹を満たす手巻寿司を一人に1本ずつ出し、次に汁物、そして握り寿司と変化し、最後に豪華な伊勢海老の活き造りが大きな船に乗って出てくるのである。
 
 人間国宝の作った何十万円もするお皿と、お酒のぐい呑みは備前の藤原啓氏の作品であったと言えばさして変わったことではないと思われるところであるが、ここから大いに異なる。
 
 庭に出ると一本1500万円もする松の木があり、樹齢300年の霧島つつじが咲き、天童城と名付けられた自前の天守閣の足元から、日本に2台あるかないかと思われるベンツ(※1)とロールスロイスファントム(※2)があり、帰途に着くお客様は、ロールスロイスでホテルまで送ってもらえるのである。その間、岡田氏は立派なカメラで客の食事記念写真を撮り、数日後には達筆な波打つ筆跡で、「成功」の贈る言葉が付け加えられるのであります。「日本一の伊達男」と筆で書かれた方は身が縮むが、まんざら悪い気はしない。立派な写真は額装である。
 
 歯科技工の「作品」も、作っただけではお客様は満足しない。立派な箱に入れて、さらに包装紙で巻いてお納めするような気構えを持ちたいものである。日頃私は社員教育をそのようにしているつもりですが、その良い手本を天童で経験させられたのでした。
 
※1 ベンツ300SLガルウィング 1955(手製)
文化、スポーツで頑張った子どもたちの公共パレードや海外からのゲストに使う。
 
※2 ロールスロイス ファントム エクス カリバー
世界に8台しかない。そのうちの1台でアラブの王様が持っていたもの。

代表取締役会長 和田弘毅

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