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(65)歯医者の齒ぎしり

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2006年08月08日

さじかげん (65)歯医者の齒ぎしり

 
 歯科技工業界も昔に比べれば大分良くなった。ゴルフがしたければゴルフ道具も買えるし、パソコンが欲しければパソコン一台くらいは買える。しかし、話が海外旅行となると、一部の技工所経営者を除き、依然として時間が取れない。時間が取れない最大の理由として、仕事に追われて毎日12時間労働をしなければならないことが挙げられる。つまり、あまりにも仕事量が多いため、12時間以上働かなければ、期日までに納品できないのである。従って、日本の技工所で何が課題かと言えば、長時間労働である。
 
 しかし、この長時間労働を解消するためには、全体を把握し、解決策を見いださなければならない。日本全体の歯科技工物の量を算出し、一個当たりの製作時間との積から労働時間全体を計算することができる。
 
 平成15年度の調査では、労働時間が平均12時間の場合、歯科技工士は5万6750人必要で、平成15年度の就業技工士数の約3万6千人から試算すると約63%の人数で、12時間労働で仕事を消化していることになる。言い換えると、残りの37%はさらに残業を追加していることになる。これを9時間労働に置き換えると7万5607人であり、日本全体の技工量を消化するのに、現実は半分以下の人数で倍の仕事をしていることになる。
 
 この日本全体の仕事量と作業時間、就業者数が不明なまま、歯科技工業界を統括、指導してきた業界のリーダーにも問題はあるが、現状を掌握して発表し得る機関が乏しいことも、歯科技工業界の萎縮を招いてしまった大きな原因のひとつである。これこそ「技工士の齒ぎしり」だ。
 
 歯科技工業にとって、どれだけの仕事を何人で消化しているかは問題提起の第一歩であり、そして歯科業界全体の問題でもある。
 
従って、歯科医師側にこの実体を報告し、歯科医師からの指示、指導をお願いしなければ、単独では絶対に解決しがたい宿命である。
 
ところが、歯科医師の診療報酬、すなわち補綴は不採算である。鋳造冠の単価は近隣諸外国に比べると約3分の1の金額であり、奉仕活動を強いられたまま、数十年が経過している。
 
 「せめて鋳造冠やインレー、義歯だけでも保険から外せ」と歯科医師から言っていただかなければならないと思っていた矢先に、井坂義昭氏の著書『歯医者の齒ぎしり』(オフィス・マイン出版刊)が発行された。
 
 実に痛快で暗い気持ちが明るくなった。皆様にもお薦めしたい一冊です。

代表取締役会長 和田弘毅

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