HOME > プレスリリース > (50)「少子化」より「劣子化」が問題
プレスリリース2009年 一覧に戻る

(50)「少子化」より「劣子化」が問題

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2005年05月17日

さじかげん (50)「少子化」より「劣子化」が問題

 
新入社員を迎えて
 
 本年3月23日、文部科学省初等中等教育局幼児教育課による中央教育審議会答申の概要についての講演を受講した。「与えられ教育」の中で育った子供は体力的にも知力的にも能力が落ちて劣子化しており、少子化対策もさることながら、教育の内容も変えていかざるを得ないことがよく理解、認識できた。
 
 そのことは現在の新入社員の資質にも影響していると感じ、このようなタイトルとしたのであるが、受講中、最も関心を持ったのは、現代の子供たちの自然体験・生活体験等に関する調査研究結果である。幼少期に、自分の身長より高い木に登ったことがない、魚釣りをしたことがない、日の出や日の入りを見たことがない、という子供の割合が、あまりにも多いことに驚いた。
 
 我が家では小学生と幼稚園児の孫たちが同居しているので、なるべく自然に親しませようと、山野をかけ回るような機会を作るのであるが、肝心の孫の親たちが、自分たちの興味のある方向、例えばユニバーサルスタジオなどの遊園地や各種ゲーム機器など、「与えられた世界」に子供たちを誘導するのである。そのため子供たちは、木に登り、土に親しみ、水に逆らい、魚を捕るといった自然との闘いを経験する機会が減る一方なのである。
 
 自然に触れ、そのたくましさに対し、最も素直に肉体と精神で闘争できるのが幼年期である。子供の安全のためだけに鍛え抜くことをせず、精神力を養おうとしない現代の親たちが、子供を、与えられたことしかできない創造力のない人間に育てているのである。そして彼らはやがて社会人となり、新入社員として世に出る。五月病が発生する今の時季に、このことを結びつけて考えないわけにはいかないのである。
 
 過日、久しぶりにボートで海に出ることにした。3月末である。近所の漁師生活35年のおばさんに、「今の時季に海に出てひっくり返ると、大寒の冷たさですよ。彼岸を過ぎて暖かくなったと思ったら大間違いです。夜ならまず助からないですから!」と言われた。
 
こういうことに関しては、私も諸先輩からの忠告が必要な新入社員、もしくは幼稚園児なのである。

代表取締役会長 和田弘毅

pagetop