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(48)「金パラ冠」という超重要課題 その②

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2005年03月22日

さじかげん (48)「金パラ冠」という超重要課題 その②

 
金パラ鋳造冠のコスト
 
 ここ何十年来、歯科技工士の一分間あたりの人件費は変わっていない。歯科医師も然りである。歯科技工士の一分間あたりの人件費は約二十五円から三十円、歯科医師は約百五十円から二百円である。
 
 クラウン一本あたりにかかる技工士の人件費を計算すると、約五十分の作業時間であるとすれば、千五百円となる。かかる人件費の倍を売価とするのが妥当であるので、クラウンの技工物としての完成価格は三千円となる。
 
一方、歯科医師の作業としては、模型作製まで約六十分、完成した技工物を患者にセットし、咬合調整完了までさらに約六十分かかるとして、合計百二十分を要する。一分間あたり百五十円をかけると一万八千円の人件費となり、同じく倍の金額を売価とすれば、患者へのチャージは三万六千円となる。長年の経験をもとに考え、一日に技工士、歯科医師がクラウンをそれぞれ五本ずつ製作することが可能であるとすれば、その料金は技工士が一万五千円、歯科医師が十八万円となる。
 
 そう考えると、クラウン一本は三万六千円くらいが最低価格になるはずであるが、健康保険では価格が統制されており、歯科医師の診療報酬はその三分の一以下に抑えられ、技工士はというと、同業間の競争で約七十五パーセントに抑えられている。
 
クラウンは技工物の中で最も多く、年間二千三百万個も作られているのであるから、赤字もいいところである。まるでボランティアであるが、なぜその不満を政府にぶつけることができなかったのだろうか。日本の歯科医療費は世界の七不思議の一つであると言われる所以である。国が定めた料金について厳密に計算することもなく、自分が一分間いくらで仕事をしているか自覚もせず働いている方も多いと思うが、一体どれだけ無償で奉仕しているか、国民に主張できなければならないのではないだろうか。
 
 金属代とその加工時間に要する人件費から比較的簡単に出せるはずの金パラ冠のコストであるが、なぜか今日まで、日本歯科医師会や各種学会において発表されていない。当社では、阪神大震災が起こった平成七年に保険のクラウン専門の製造工場、クラウンセンター綾上を設立し、今日まで十年間、日産約八百本のクラウンを製造してきた。年間約二十一万本、十年間で二百十万本製作してきた結果、一般歯科医院や技工所では得られない統計的な数字を根拠とするデータを得ることができた。
 
諸外国の治療費と比較して、一本あたり三万円料金が低いとすれば、日本全国で年間二千三百万個のクラウンが製作されているとしたら、単純計算で、総額六千九百億円分の歯科診療報酬を無償で国民に提供していることになる。せめて二万円の報酬がなければ、国民に適切な歯科医療を提供していくことは困難なのではないかと考えるのである。このボランティアも一億円事件と関係ないはずはないのであるが、そういった矛盾をどうやって国民に訴えるかが、我々の大きな課題なのではないだろうか。
 
〈金属冠料金について ある歯科医師の試算〉
 
歯科医師の1分あたりの給与(月収130万円、週休2日の場合)
1560万円(年収)÷247日(稼働日数)÷8時間(実働時間)÷60分=約131円
131円×20分(金属冠チェアタイム)=2620円
人件費の3倍の料金が適正とすれば
2620円×3=7860円
 
技工士の1分あたりの給与
390万円(年収)÷269日(稼働日数)÷11時間(実働時間)÷60分=約22円
22円×60分(金属冠作製時間)=1320円
人件費率50%とすれば
1320円×2=2640円
 
TEKの作製等、必要な他の作業時間や経費も含めて考えると、最低2万円の料金が必要ではないか。

代表取締役会長 和田弘毅

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