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(40)熱さ・冷たさは、温度計では計れない

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2004年06月29日

さじかげん (40)熱さ・冷たさは、温度計では計れない

 
 最近、「温度差」という言葉がよく使われる。おそらく、お互いが抱える思いの温かさや冷たさの加減の違いを温度差という言葉で表しているのであろうが、その差を縮め、同程度の温度になれば、同じテーブルで議論しても理解し得るということなのだろう。
 
 「政治では3年、会社では3分」という、官も民も経験している、有名な四国の冷凍食品会社社長の名言がある。つまり、同じことに対しても、かかる時間がそれだけ異なるということである。この言葉は、官と民の温度差をよく表現している。本当に規制緩和などの構造改革が進められ、日本の遅れは取り戻されつつあるのだろうか? と思うこともあるのだが、今、見えないところで急速に変わりつつあるのが実態なのかもしれない。
 
 私は年中、部屋の温度を測定する癖がある。すると、同じ20℃でも、夏の20℃と冬の20℃では、感じ方があまりにも大きく違うことに気付く。最も過ごしやすい気温は25℃ぐらいであろうと思うが、わずか5度の差の20℃は、夏ではかなり寒いし、冬ではかなり温かいことになる。
 
 冬期、冷え切った部屋を暖めるのには時間がかかり、2℃ぐらいまで冷えた部屋を15℃まで上げるのにはかなりの時間がかかる。エアコンを使おうが、ガスストーブを使おうが、北海道で使われるような灯油ストーブを使おうが、大同小異である。これは、冷えた部屋の壁の量、つまり暖めるべき器の大きさに対し、供給する熱量が乏しいことを意味している。
 
 物の温度の伝わり方に比べ、人間の想いの熱さは、すぐに相手に伝わる。先般、私は、自分が古稀を迎える誕生日の頃に発刊できればと思い、約一年かけて仕事の合間に原稿を書いた、「歯を創る 未来を創る」という自叙伝を上梓した。今年の一月半ばに完成し、日頃お世話になっている関係各位にお送りしたところ、思いがけずたくさんの礼状をいただいて感激した。「この極寒の冬に、熱い想いの本が届きました」という、埼玉の女医さんからのお便りを筆頭に、百通余りの感想文をいただいたのである。中には10頁にもわたる温かいお手紙もあり、お礼状で一冊の本ができるのではないかと思うほどである。
 
 拙著を読んでくださった皆々様に感謝し、「ぜひ後篇を書こう」と、更なる研鑽に努める決意で、熱き想いの再スタートを切った。今までの70年間の人生の中で、大きな感動として心に残る出来事であった。

代表取締役会長 和田弘毅

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