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(39)心の豊かさを求めて

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2004年05月25日

さじかげん (39)心の豊かさを求めて

 
 昭和41年、当社を株式会社にした際に、自らの経験に基づいた、自社の社是・社訓を作った。その中の一つに、「豊かな心、豊かな生活を目標としよう」という呼びかけがある。今年も入社式の訓示で、新入社員に社是・社訓について解説したのだが、どうも「豊かな心」についての説明が不充分であるように感じていた。
 
 そんな折、UFJ総研のプリンシパル、吉田寿先生に、本年度の役員研修をお願いした。「人間力を磨く」というテーマでお話いただいたのであるが、そのレジメの中に、2人の人物の格言が引用されていた。一つはドイツの詩人ゲーテの言葉、「才能は静寂の中でつくられ、人格は世の激流の中でつくられる」。もう一つは喜劇王チャップリンの言葉、「木の葉の揺らぎ、風のそよぎに耳を澄ます。それが人を愛し、芸術を愛する心です」というもので、これは「心の豊かさ」を説明している。
 
 この言葉を教えてくださった吉田先生に、お礼を述べた。チャップリンの言葉のお陰で、久しく歯切れの悪かった「豊かな心」の説明ができるようになったからである。そうなのだ、人間は大自然の動きに感動し、大自然の音に耳を貸すとき、心が動き、人生における人間力というものを向上・練磨させことができるのだ―と気付いた。チャップリンという芸術家が、いち早くこのことに気付いたのに対し、古稀を過ぎてやっと気付く己の愚かさに、改めてチャップリンを尊敬した次第である。
 
 わずかな言葉や表現から人の心の微妙な動きを読み、正しく反応する訓練は、若いときから磨かなければならない。思いを詩歌で表現するのも素晴らしいが、まずは物の微妙な変化を観察することが優先である。
 
 自然を愛することが心の豊かさを保つ秘訣ではないだろうか、ということを教わり、若い世代を迎えるこの季節、彼らに贈る言葉としたい。
 
 さて、公益団体である歯科医師会の、会員手帳の中表紙には、「1.常に研鑚を積み、医術の練磨と医道の高揚に努める。2.患者に対し、限りなき愛情と責任をもって最善を尽くす」とあるが、これは、自然を愛する心の豊かさがあれば、目的に近づけるのではないかと思ったりもした。また、このことを、本紙でも『歯科情報学』を執筆中の松尾通先生は、本来の歯科医師会の活動であると強調されている。

代表取締役会長 和田弘毅

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