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(27)指揮者は皆に背を向ける

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2003年04月23日

さじかげん (27)指揮者は皆に背を向ける

 
 会社の経営には、ボトムアップで下から上へと意見を吸い上げて、社員の意思を常に反映しながら経営の舵取りをする方法と、トップダウンで上から下へ、半ば強制的にトップの方針や戦略戦術を駆使する方法、そして、両者を織り交ぜてシーソーゲームを繰り返す方法がある。
 
 日本的経営は、できるだけ社員の意向を汲み上げ、会社の経営に反映させる方法が比率としては高く、事実、不平不満が少なくて民主的であると思われるが、経営者はやりたい事があってもずっと我慢をして、時期を待っているような気がする。この問題は、社員が会社の方針に理解を示すまで5年も10年もかかる場合があるので、今のような時代では、急速な変化に対応できないという欠点がある。久方ぶりに訪問したアメリカの大手ラボ社長に、アメリカではこの問題はどうかと相談してみたところ、「オーケストラを見れば分かる。指揮者は常時、皆に背を向けている。」と答えた。即座に答えるアメリカ的決断に、息を呑んだ。事実、彼の会社は急速な発展を遂げ、年率12%以上の伸びを示している。
 
 なぜ年率12%も伸びるのかと尋ねると、行く工場内の先々でそこの長を掴まえ、「この人のおかげで会社の業績が上がっている」と、感謝の声をかけて回るのである。ボトムアップをしなくても良い結果が出れば、それをしたのと同じである。
 前述の指揮者は、人々に背を向けて立たなければならない運命であるが、結果的に良い音楽を聴衆に聞いてもらえれば、どちらを向いていようと成果の方が重要である。
 
 歯科技工業に必要なものは、オーケストラのように演奏者の誰一人として欠かせない位幅広いもので、指揮者のタクトに演奏者が従うか従わないかは、経営の方針とその理解度に左右される。その後、違うロサンゼルスのレストランで「あなたの会社のスーパーテクニシャンは、皆自信を持っている。」と誉めて頂いたが、それはどうして分かるのかと尋ねたところ「社長と食事をしている席でも、おのおのそれぞれ左右上下、様々な方を向いている。」と表現された。指揮者である経営者は、自信を持っている社員をしっかり見つめ、能力を充分に引き出して、会社というオーケストラの一員である事の喜びを味わってもらえるようにしたいものである。

代表取締役会長 和田弘毅

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