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(26)女性の言葉を美しく

メディア 日本歯科新聞 掲載日 2003年04月01日

さじかげん (26)女性の言葉を美しく

 
 しばらく…と言っても6年ぶりにアメリカに旅行した。目的地はロサンゼルス・ハリウッドである。ワーナーブラザーズ、ウォルトディズニーの本社があるバーバンクは、あまり日本人が行かない穴場だと聞いている。そこで35年間映画のプロデューサーをしている友人の家を訪ねた。昔、俳優が住んでいたという家で、クラシックというかアンティックというか、落ち着いた部屋である。飾り棚のガラス板がレンズの如く突起しているのには興味をそそられた。
 
 私が口福を提唱している一人であると知っている彼は、「良い義歯を作り、おいしいものを食べてもらうように努力するのも結構だが、その口から発せられる日本人の言葉が大変汚くなっている。特に若い女性が鼻から抜けるような発音を好み、「俺の言った通りにせぇや」などと、平気で話す姿は聞くに堪えない!!何とかならないだろうか?」と言った。さらに「この事は、歯科医療に携わる人が次に考えなければならない事ではないでしょうか?」と追い討ちをかけられた私は、「その事は、まだ深く考えていません。」と答えた。
しかし考えてみると、聖書のヨハネの福音書一章一節に「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった。」とあるように、言葉は神聖な物事の始まりであったはずである。
 
 声紋の研究をしているとか、義歯による発音や、楽器を自由に吹けるようにする研究者というのは聞いた事がある。しかし、時代が反映した日本人の言葉遣いや、風潮等を義歯作成者がどのようにして改革に繋げていけばよいのかと尋ねたところ、「義歯が人間の発言する思想をも変える機能を兼ね備えるのは、至難の業です。しかし、歯科人として新聞やエッセイにそれを書いて訴え続ける事が重要です。」と、話は発展した。
 
 普段、台湾や韓国に旅行すると、昔の正しい日本語と綺麗な言葉遣いに接する事が多い。その方々は歌を歌う時、炭鉱節の「月が出た出た、月が出たぁ」と始める。昭和の初期人までである。今ならまだ聞く事のできる「正しい・美しい日本語の講座」を若い世代を対象に設け、歯の予防以外に美しい言葉を微笑みと共に提供するのも、これからの歯科に残された分野かもしれない。

代表取締役会長 和田弘毅

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