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塩田博文先生による保険義歯臨床のワンポイント講座
 
入れていられない

 義歯をお持ちだが、入れていられないという患者さんが時に来院されます。そのような時はやや構えてしまいます。「良い歯医者だから行ってみたら?」という私共への応援歌を聞かれての来院ということもあります。
 ある種の期待を抱いているに違いありません。まず、入れていない、使っていない義歯を見せていただきます。その義歯に問題があれば成功する、つまり使っていただける義歯が出来る可能性がありますが、そうでない時は「うまくいかないかも知れませんが…、頑張りましょう」と正直にお伝えします。

 床外形が不適切であるとか、その延長線上で上顎は落ちる、下顎は浮き上がるということであっても、それだけで上手くいき、受け入れていただけるとは思いません。
 とりあえずリマウントをしてみます。そしてかなりのズレがある場合は、良くなる可能性があります。患者さんと私共に時間的な余裕がある場合は、床の外形も直し、リライニングもします。
 これは慣れて院内ラボが適切に動くようになれば苦になりません。もちろん2~3時間かかることもありますが、これで上手くいけば患者さんは信者になります。そうすれば患者さんは信者ですから「あそこは最高!あなたも行った方が良い!」と布教活動をしてくださり、たくさんの患者さんが来ることになります。

【ケース1】
 本ケースは私の38年の臨床の中で最も大きな上顎義歯でした。「とても入れていられない」とはおっしゃってはいませんでしたが、かなり辛抱強い方だと思いました。
 写真ではこの義歯の「スゴサ」を実感できないかと思います。私は目に焼き付いてしばらく頭から離れないほどの強烈な衝撃がありました。
もちろん新義歯ではニッコリでした。入れていられないというケースのプレゼンテーションではありませんが、いずれにしても大き過ぎますし、どこかで修理をやめ新製するべき症例と思いました。
新義歯 旧義歯

新義歯は28g 旧義歯は66g

義歯の保存ケースに入らないサイズなので、皆様の想像以上のサイズです。


【ケース2】
当院で左下3番を抜歯し総義歯になったケースです。抜歯同日に増歯をして何回かリライニングをして差し上げた後、半年くらい経過して新義歯作製に着手しました。
 下顎左右7番部がスキーゾーンということもあり、下顎左右7番を配列しなかったケースです。旧義歯と大きく変わったところは顎舌骨筋側の床外形が大きくなったところです。
 通常、大きくすると違和感を訴えられることが多いのですが、幸い短くすることなく受け入れていただけました。更にありがたいことに吸着も求められほっとしたところです。
 しかしながら、大きいのは受け入れられないことも多く、義歯が浮き上がる経験を結構します。その対応としては、少しずつ削って大き過ぎない外形で着地することが大切です。
左が新義歯の咬合面観 左が新義歯の粘膜面観

左が新義歯の右側面観で、顎舌骨筋側が旧義歯に比較して長い 左が新義歯の左側面観で、右側同様旧義歯に比較して長い

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