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塩田博文先生による保険義歯臨床のワンポイント講座
 
プロローグ②
 「義歯をうまく作るには?」とか、「患者さんに受け入れてもらえる義歯の心得や勘所とは?」と問われてもなんと答えて良いものやら言葉に窮しておりました…。しかし最近では『高すぎず、大きくもなく、まん中を、バランス良くが歯合わせの道』と答える様になりました。

 義歯を入れている患者さんにお伺いすると、高いのはかなわない、もちろん大きいのも勘弁して下さい、とおっしゃいます。患者さんがそう言われるので、それはある種、真理で真実のことと思います。

 少し説明を加えさせていただくと、まん中とは左右にズレておらず、前すぎず後ろすぎないところという意味です。いわゆる水平的顎位を誤らないということです。
バランスとは右が高い、左が低い、前が高い、奥が低い、ということがないといったバランスのことです。いわゆる「たいら」ということで、高い所もなく低い所もないということです。
そして歯合わせとは幸せのことです。少し決まり過ぎでしょうか。

 上記のことを心しておこなえば噛み合わせが良く、幸せな義歯となるという内容です。実はこれ、五七五七七でリズムが良いこともあってか義歯の名人の先生に、シオダセンセイが考えたとは思えない!!といったお誉めの言葉?を頂戴したことがあります。
「補綴感(観)」という言葉があります。これらが身についた義歯作りができれば、患者さんを満足させることができ、喜んでもらえると強く思います。
 ちょっとつまずきかけたら、この31文字に問いかけてみて下さい。少し明かりが見えるかも知れません。補綴学からずいぶん離れている感もありますが、当たり前といえば当たり前のことなので、まずはこのことをクリアーすることからスタートしてはいかがでしょうか。

 以上、噛み合わせのこと、つまり咬合のことを書かせていただきましたが、この咬合を正しく再現できれば義歯の80%位は成功したと思っても過言ではありません。逆にこの咬合がうまくいかなければ100%うまくいかないと私は思っております。従って、まずはこのことをチェックして不適切であれば、人工歯の展開角を語ったり、排列位を探ってみてもその意味は少ないことになります。

 もちろんここで大切なことは正しく咬合採得されていることが条件で、義歯は歯肉の被圧縮度のこともあり、なかなか難しく、その時点でエラーをしてころんでしまうと、先の努力が報われないことが多い訳です。

 繰り返しますが、咬合が不適切であれば、その他の努力が水泡に帰すと思って良いです。多くの真面目な先生方にお叱りを受ける話かも知れませんが、とにかく咬合の重さを知っていただきたいと思います。
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